2023新作 カルティエ「ベニュワール」

「ベニュワール」の歴史は、カルティエ ウォッチの特徴的なフォルムの伝統に刻まれています。1904年に登場した「サントス」のスクエア型、1906年の「トーチュ」の大胆なデザインに続き、メゾンは1912年に角を丸く仕上げた長方形のウォッチを発表しています。フォルムに対する追求はその後も続き、1958年には「オーバル サントレ」と呼ばれる、ケースが手首に沿ってやや湾曲したウォッチが誕生しました。

　これは1973年に「ベニュワール」と名付けられるウォッチの前身で、ドーム型のガラスとローマ数字が刻印されたダイアル、その周囲を取り巻くスムースゴールドなど、「ベニュワール」の特徴となるボリュームやディテールがすでに採用されていました。

「ベニュワール」ウォッチは誕生以来、オリジナルモデルの精神を守りながら、さまざまなバリエーションで「ベニュワール」らしさを追い求めています。カルティエがそのフォルムに無限の可能性を与えても、このアイコニックなタイムピースは、常に「ベニュワール」であり続けているのです。

ルー・ドワイヨンと「ベニュワール」の運命的な出会い

　さまざまな分野で活躍するアーティストのルー・ ドワイヨンは、自由とエスプリでエレガンスを追求するパリジェンヌ コミュニティの一員となりました。

　ルー・ドワイヨンは次のように述べています。「カルティエはずっと前から私たち家族にとって、気持ちを伝える大切なシーンではもちろんのこと、常に身近な存在です。18歳の誕生日には、母から『ベニュワール』ウォッチを贈られました。エレガントでシックなサファイアガラス、シンプルなダイアル、タイムレスなフォルムのこのウォッチには、カルティエらしさが凝縮されています」

スケールを変えて

　新しいプロポーションによって、バランスが逆転します。「ベニュワール」ミニは、小型化すると同時に存在感を強めました。小さなケースの上で、大きくなったゴドロン装飾のように、ベゼルが繊細なダイアルをゴールドで囲みます。無駄を削ぎ落したライン、明確なフォルム、完璧なプロポーションで構成されるこのウォッチを、人はジュエリーとして、あるいは「ベニュワール」だからこそ身に着けるのです。

2つの表情をもつウォッチ

　ローマ数字とドーム型のガラスが特徴的な、タイムレス な「ベニュワール」は、今回新たに2つのバージョンで展開されます。ひとつ目は、「レス イズ モア（より少ないことは より豊かなこと）」の概念に基づいて、ピュアなエレガンスを追求しました。繊細なプロポーションを通じて存在感を示すこのバージョンは、ベゼルのイエローゴールドの輝きがエナメルブラック レザーのストラップにくっきりと浮かび上がります。クチュール感があり、より洗練された新しいウォッチは、まさに「ベニュワール」らしさを表しています。

　ふたつ目は、「ベニュワール」の象徴的なオーバルシェイプを昇華させたゴールドのバングルタイプ。手首に滑らせるようにしてはめるスタイルです。新しい着け方や表現を提案するこの「ベニュワール」は、ピンクゴールド、イエローゴールド、フルパヴェのホワイトゴールドで展開され、手首に沿うように湾曲させたケースは、いっそうセンシュアルな表情を見せています。この「ベニュワール」がカルティエのデザイン文化から生まれたからこそ、メゾンを象徴する他のクリエイションと無限に組み合わせることができます。

カルティエのふたつの世界が融合するクリエイション

　時間の無限性を、ごく小さなウォッチのなかに収める試みは、スケールを大胆に変えることで、足跡を見せることなく叶えられました。ジュエラーでありウォッチメイカーであるカルティエのふたつのアイデンティティに支えられ、職人たちは既成概念に挑み、好奇心で創造性の限界を押し広げました。

　プロポーションが変わることで、機能性に変化が生じます。ウォッチはもはや、単なる時間計測のツールでも装飾品でもなくなり、人々の期待を超える別次元のオブジェとなります。職人たちはサヴォアフェールを変化させ、テクニックをデザインに合わせて組み込み、ひとつの領域の卓越性を、もうひとつの領域へと移行させました。

　ゴールドは、1933年から1970年までメゾンのクリエイティブ ディレクターを務めたジャンヌ・トゥーサンが好んで使用した素材です。それはゴールドが、太陽のように明るい色であり、細工しやすく、具象的あるいは抽象的な作品を通じて、さまざまな可能性を追求することができたからです。ゴールドは、小さなダイアルやプレシャスブレスレットの周囲で魅力的な表情を見せます。この新たな「ベニュワール」は、「パンテール ドゥ カルティエ」ウォッチと同様に、ジュエリーウォッチの代表として存在感を示します。

　カルティエ ジュエリー＆ウォッチ クリエイティブ ディレクターのマリー＝ロール・セレードは次のように語ります。「カルティエは、ジュエラーでありながら、ウォッチメイカーでもあります。ですから、カルティエが生み出すウォッチは、ジュエリーとの境界線が薄れ、むしろ両方の良いところを取り入れることができます。こうしたふたつの世界の融合から、『ミニ ベニュワール』のピュアで洗練されたデザインが誕生しました。バングルの無垢な輪郭に、あらゆる要素を排した小さなダイアルを組み合わせることで、歴史に残るウォッチに新たなデザインが加わりました。『ベニュワール』がジュエリーになったのです」

Baignoire
ベニュワール

Ref：CRWGBA0017
ケースサイズ：24.6×18.7mm
ケース厚：7.2mm
ケース素材：イエローゴールド
防水性：日常生活防水
ストラップ：ブラック パテントカーフスキン、イエローゴールド製アルディロン バックル
ムーブメント：クォーツ
仕様：時・分表示、シルバーダイアル、ブルースティール製剣型針、サファイアガラス、パール状の飾り付きイエローゴールド製リューズにサファイアカボション
価格：1,122,000円(税込)