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世界に一台しかないコーチビルドのためのユニークなダッシュボードウォッチ。ロールス・ロイス・アメジスト・ドロップテイルに特別仕様でデザインされた「レ・キャビノティエ・アーミラリ・トゥールビヨン」

 ヴァシュロン・コンスタンタンが高級車と高級時計の両方を所有するお客様からの要望に応え、ロールス・ロイス・アメジスト・ドロップテイルのダッシュボードに収まるようにデザインした特別なタイムピース「レ・キャビノティエ・アーミラリ・トゥールビヨン」を製作しました。ロールス・ロイスのコーチビルド車用の特注車載時計です。ヴァシュロン・コンスタンタンのチームは、英国の高級メゾンであるロールス・ロイスのデザイナーや職人たちと密接に協力し、「レ・キャビノティエ・アーミラリ・トゥールビヨン」を製作しました。

 また内装と同じ木材のモーヴカラーのレザーを使用した専用ケースも製作されました。ムーブメントには、メゾンの時計職人たちが、車の伝統的な速度計を想起させる時分のダブルレトログラード表示、18世紀の天球儀を彷彿させ優雅な機械的な動きで魅了してくれる2軸のアーミラリ・トゥールビヨンを備えた、自社製キャリバー1990を搭載しました。このタイムピースとホルダーの極めて緻密で個性的な仕上げは、メゾンが掲げる卓越性の基準を満たしています。

「レ・キャビノティエ・アーミラリ・トゥールビヨン」は英国のロールス・ロイス・モーター・カーズと密接に協力し、技術仕様や仕上げのディテールにこだわり、ロールス・ロイス・アメジスト・ドロップテイルの内装を完璧に引き立てます。黒檀製のコントロールパネルに組み込まれ、ダッシュボードにディスプレイできるように設計されたこのタイムピースは、エレガントで見事に内装に一体化され、取り外し可能なホルダーに収められています。タイムピースの仕上げと、専用ボックスは、車の内装に呼応しています。

 精密さ、ディテールへのこだわり、職人による専門技術への情熱を共有する2つのメゾンを称えます。

 機械工学は、情熱を限りなく膨らませます。車の内装であろうと、時計のケースの中であろうと、これらの情熱は、特化した伝統技術により、空間と時間を完全に統制しようとする欲求を掻き立てます。それゆえ、自動車に特別な愛着を持つ多くの高級志向のお客様が、高級時計製造に惹かれるのは当然のことであり、その逆もまた然りなのです。

 ヴァシュロン・コンスタンタンにとってこの相互の魅力は、ロールス・ロイス・アメジスト・ドロップテイルダッシュボードのタイムピースを製作するという、あるお客様からの特別な依頼によって反映されました。しかし、このタイムピースの製作にあたり、いくつかの厳しい条件が含まれていました。タイムピースは特注された車のインテリアに溶け込み、その美的コードを反映するものでなければなりませんでした。また、エレガントで取り外しが可能でありながら、堅牢性と耐衝撃性の厳しい基準を満たす必要がありました。お客様の要望に沿ったビスポークのタイムピース製作に特化しているメゾンのレ・キャビノティエ部門は、この特別な要求に応えることができたことを大変光栄に思っています。

 ヴァシュロン・コンスタンタンのアーカイブによると、1928年に自動車のためのタイムピースが製作されていることが解っていますが、今回のプロジェクトは、ロールス・ロイスのコーチビルドという非常に特殊な依頼に完璧にマッチするようにデザインされたもので、メゾンの現代史において初めての試みとなりました。

 卓越性と細部への細心の注意を追求する、名高い英国高級メゾンの責任を考えれば、この挑戦を引き受ける十分な理由となりました。


技術的な課題

 ロールス・ロイスとヴァシュロン・コンスタンタン両社のビスポークを高く評価するお客様から依頼を受けたこのユニークピースは、素晴らしい技術的挑戦となりました。2つのメゾンが緊密に協力し、ロールス・ロイス・アメジスト・ドロップテイルのフェイシア(インスツルメントパネル)に、このタイムピースを見事に組み込むことに成功しました。

 メゾンの熟練時計師たちは、ロールス・ロイスのコーチビルドデザインチームと協力し、時計の形状、素材、色彩が周りの環境と美しく完璧に調和するよう努めました。


比類ないキャリバー

 ヴァシュロン・コンスタンタンの時計職人たちは、このユニークピースに自社製手巻きムーブメント、キャリバー 1990を搭載することを提案しました。このコンプリケーシ ョン・ムーブメントは、メゾンが2015年に発表した世界で最も複雑なタイムピースである「リファレンス 57260」から派生した一部の技術開発を組み込んでいます。

 この選択は、時針と分針が瞬時に回帰するバイ・レトログラード表示にとりわけ影響を受けています。この機能は、スイープ針を備えた伝統的な自動車の速度計を彷彿させます。表示針は、驚愕の速さでゼロに戻りますが、それには大きな応力を及ぼします。この特に多くの条件を必要とする機構には、表示の正確さと使用する素材の耐久性を保証するため特別な配慮が必要です。このタイムピースのために針は、極めて軽量でスティールより耐久性の高いチタンで製作されました。

 それに加え、ダイヤル上部に時刻表示を備えたこのタイプの配置により、トゥールビヨンの見事な機械的な動きに必要なスペースを提供してくれます。このタイムピースには、トゥールビヨンが複雑な"アーミラリ" バージョンで登場します。この用語は18世紀の、アーミラリ(環状の)として知られる惑星ギアを備えた回転式の天球儀を発明した、フランスの時計師アンティード・ジャンヴィエを讃えるものです。このト ゥールビヨンの外観は、天球を模した有名な科学的機器である連動した円状リングとアーミラ(目盛の刻まれた金属のディスク)を想起させます。この種類の調速装置の構造は、ムーブメントの順調な機能を妨げる重力の影響を補正するように設計されています。つまり、1回転60秒の速度で2つの異なる軸の周りを回転する2つのキャリッジを内蔵し、継続的に動く球体を形成しています。このタイムピースは、車のダッシュボード上で垂直姿勢を保つことで、このような調速装置を機構の心臓部に採用することは、十分に正当化されます。トゥールビヨンは、19世紀初頭に発明され、通常垂直姿勢で着用されていた懐中時計のテンプに及ぼす等時性の問題を解決するのを目的としていました。

 平面的なひげゼンマイと対象的に、テンプに取り付けられた円筒形のひげゼンマイは、このタイムピースの機構にとってもう一つの技術的な特徴です。1814年にジャック-フレデリック・ウーリエによって発明された、この外端曲線を欠く異形のひげゼンマイは、トゥールビヨンのひげゼンマイに完璧な同心円の伸縮をもたらし、等時性を向上させ素晴らしい精度を達成します。この方法が、現在の時計製造で採用されることは非常に稀です。毎時1万8000回(2.5 Hz)の振動数に同調したインパルスを伝達するために、ヴァシュロン・コンスタンタンはシリコン製のガンギ車とダイヤモンドの爪石をセットしたアンクルを開発しました。瞬時にジャンプするダブルレトログラード表示機構は、持続期間を通して駆動トルクを必要とするため、この性能は一層並外れたものであると分かります。

 キャリバー1990に搭載された技術革新のために4つの特許が取得されました。まず、瞬時レトログラード表示で、真夜中または正午に2本の針のジャンプを完璧に同調させる1つの分カムにより統制されています。2つ目は、ひげゼンマイの内端を固定する部品である、特許取得済みのコレットはチタンで製作されました。この素材を調速機構の素材と一致させることで、調速のパフォーマンスが向上しました。3つ目の特許は、2軸の回転により、15秒ごとにメゾンの象徴であるマルタ十字を象るトゥールビヨンのキャリッジの構造についてです。最後の特許は、ダイヤモンドでコーティングされたシリコン製アンクルに関連し、摩耗に対する高い耐久性と最適な摩擦係数を提供しています。

 そして特筆すべきは、実用的な理由から意図的に大きめのリュウズを採用し、58時間のパワーリザーブを保証する巻き上げを容易に行うことができることです。これは、12時位置に配され、伝統的な速度計ミニッツトラックと同様に、ヴィンテージの手巻きクロノメーターを彷彿させます。

ディテールへのこだわり

 キャリバー1990のような複雑なムーブメントの設計は、1755年の創業時からメゾンが熟知する分野ですが、それを車の中に組み込むことはまったく新しい試みでした。メゾンの機械技師たちは、ロールス・ロイス・アメジスト・ドロップテイルのダッシュボードの正確な寸法に、完璧にフィットするホルダーを開発しなければなりませんでした。

 必要に応じてホルダーを内蔵部分から取り外し、時計を180°回転させることで、キャリバーのセッティングや巻き上げ、裏蓋の鑑賞が出来るように設計されました。側面がわずかにカーブしたこのホルダーは、ポリッシュ仕上げを施したスティール製で、面取りを施したスティール製のインナーフレームはブラックPVDコーティングが施されています。タイムピースのホワイトゴールドのベース部分は、マルタ十字をあしらった手作業によるサンバーストのギヨシェ彫りの装飾が施されています。ホルダーは、スティール製のカバーで覆うことができ、マルタ十字型のロック装置で固定されます。タイムピースとホルダーをダッシュボードから取り外し専用ボックスに収納する際は、同じ空のホルダーを入れることができます。

 ディテールの仕上げへのこだわりは、ロールス・ロイス・コーチビルドとヴァシュロン・コンスタンタンの両チームがプロジェクトに徹底した細心の注意を示しています。サファイアのダイヤルからは、キャリバー1990の美しさを余すところなく見ることが出来ます。このキャリバー1990のメインプレートには、サーキュラーサテン仕上げのモーヴカラーのNAC処理(ガルバニックコーティング)が施され、ロールス・ロイス・アメジスト・ドロップテイルのレザーシートの色合いと一致したオリジナルの色合いです。ダイヤル側のブリッジは、シャープにカットされ、手作業で面取りされ、コート・ド・ジュネーブ装飾が施されています。この装飾は裏面の同じモーヴカラーのブリッジにも施されています。

 タイムピースと付属品は、ロールス・ロイス・アメジスト・ドロップテイルの内装に使用された黒檀ライトのウッド調とアメジスト・レザーを使用したディスプレイケースに入れて保管することができます。ケースの内部は、自動車を前方から見た際の外観のようにわずかにカーブしています。

 ヴァシュロン・コンスタンタンとロールス・ロイスは、最も難しいとされるお客様からのパーソナライズの要求に応えるために専門技能を駆使する共通の文化を共有しています。2023年8月24日にロールス・ロイスとともに納品されるビスポークの「レ・キャビノティエ・アーミラリ・トゥールビヨン」は、この車にとってスピードの世界における時間計測と同様に、必要不可欠なものです。

ロールス・ロイス・モーター・カーズ

 ロールス・ロイス・モーター・カーズは英国で設立された高級車メゾンであり、世界で最も認知され、尊敬され、望まれるビスポーク製品を世界中に顧客のために生み出しています。同社は、英国ウェストサセックス州グッドウッドにあるロールス・ロイスの本社および製造工場で2,500人以上の従業員を雇用。グッドウッドには、本社とラグジュアリー・マニュファクチャリング・エクセレンス・センターがあり、車の設計、エンジニアリング、など手作業で丹念に製造される世界で唯一の場所です。施設、製品、人材への継続的な投資により、世界販売台数は「記録的な年」を重ね、2022年には世界で6,000台以上が販売され、過去最高の販売台数となりました。

ロールス・ロイス・コーチビルド

 ロールス・ロイス・コーチビルドは、ロールス・ロイスのオートクチュールであり、世界に一台しか存在しない車を製作する部門です。このコーチビルド部門は、既存のロールス・ロイス・モデルの枠を超えたいと願う顧客のために創設されたもので、個性化と実験の無限の可能性を備え、お客様の個人的嗜好の表現を可能にします。

レ・キャビノティエ・アーミラリ・トゥールビヨン

Ref.9880C/000A-182C
ケース径:43.8mm
ケース厚:19.9mm
ケース素材:ステンレススティール、サファイアクリスタルのシースルーケースバック
時計ホルダ―素材:ステンレススティール、18Kホワイトゴールド製のギヨシェ彫り(裏蓋とマルタ十字に使用)
ムーブメント:手巻き、Cal.1990(ヴァシュロン・コンスタンタン自社開発・製造)、約58時間パワーリザーブ、毎時18,000振動(2.5Hz)、45石
仕様:時・分表示(レトログラード)、モーヴカラーPVDのメインプレートとバックブリッジ、NAC処理を施したフェイスブリッジ、トゥールビヨンのスモールセコンドの秒、アーミラリ天球儀トゥールビヨン、透明サファイアクリスタルダイヤル、真鍮ロジウムオパーリン、ジュネーブ・シール取得、レ・キャビノティエ スペシャルボックス付属
限定:ユニークピース、時計裏面に《PIECE UNIQUE》《LES CABINOTIERS》と《AC》の文字を刻印

※2023年9月時点での情報です。掲載当時の情報のため、変更されている可能性がございます。ご了承ください。

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