2025新作 アニバーサリー・コレクションを締めくくる最終章。チャペック「ケ・デ・ベルク “スルスム・コルダ”」

　チャペックが、2025年アニバーサリー・コレクションを締め括るモデルとして「Quai des Bergues "Sursum Corda"（ケ・デ・ベルク “スルスム・コルダ”）」を発表しました。これは、1845年にフランソワ・チャペックがジュネーブでブランドを創業してから180周年、そして2015年に現体制のもとでブランドが復活してから10周年を記念する四部作の最終章です。

　この最終作に先立ち、2025年はすでに3つの特別モデルが披露されています。Watches and Wondersで発表されたアンタークティック・トゥールビヨン（アンタークティック・コレクション初の自社製コンプリケーション機構を搭載）、メティエダールへの現代的解釈であるアンタークティック プリカジュール、そしてジャンピングアワー機構を備えたキャリバー10を搭載したタイムジャンパー。今回のケ・デ・ベルク “スルスム・コルダ”では、ブランドは再び歴史的ルーツへと立ち返り、チャペックを定義する「美」への探求と、洗練されたシンプルさを明確に再提示しています。

　2015年に初めて発表されたケ・デ・ベルク コレクションは、フランソワ・チャペックがかつて工房を構えたジュネーブのベルグ通りに由来しています。その後、彼はパリ（ヴァンドーム広場）とワルシャワにもブティックを展開しました。

　現代のチャペック社の創業者たちは、19世紀のアーカイブに深く没入し、1850年代の懐中時計Ref.5350を含む多数の歴史的作品を研究しました。

　その研究をもとに誕生した最初の量産モデル「ケ・デ・ベルク No.33」は、細長いローマ数字、グランフー・エナメル文字盤、オフセンターに配置されたスモールセコンドとパワーリザーブといった懐中時計の美学を忠実に再解釈し、42.5mm径ケースとクロノード社との共同開発キャリバーを採用していました。

　2016年には「ケ・デ・ベルク No.33bis」がGPHGパブリック・プライズを受賞。この受賞は、コレクションが歴史への忠実さと現代のオート・オルロジュリーの融合に成功した象徴的な出来事となりました。ケ・デ・ベルクは誕生以来、「フランソワ・チャペックが追い求めた“美”を、定義しようとせずに継承する」ことを哲学として体現してきました。完璧さと不完全さ、時代を超えた優雅さと現代性の共存こそが、その本質です。

“スルスム・コルダ” ― 逆境に共鳴するダイヤル

　新作“スルスム・コルダ”は、18Kローズゴールドケースに純白のグランフー・エナメル文字盤を組み合わせ、オリジナル・コレクションを象徴する美学（エナメル、ローマ数字、洗練された針）を再び呼び起こします。

　ラテン語の“Sursum Corda（スルスム・コルダ ― 心を高く掲げよ）”という言葉が、エナメル層の下に隠されています。特定の角度から光が差し込んだときにだけ浮かび上がるこの言葉は、ブランドの歩みの中で最も困難な時期にCEOザビエル・デ・ロックモーレルが仲間に向けて繰り返した言葉であり、レジリエンス（しなやかな強さ）、希望、内なる力を象徴しています。

　ザビエルはこう語ります。「これは、普通の人なら希望消え去ってしまうような時でも、決して諦めず最善を尽くし続けるようにという呼びかけなんだ。この言葉には、ある意味があります。『わかる人にはわかる！』です！」この言葉をアニバーサリーピースの文字盤に入れるというアイデアは、実はザビエルではなく、チャペックのチームメンバーから生まれたものでした。

　さらに、エナメルの下には「10 / 180」のレーザー刻印ロゴが潜み、ブランド創業180年と復活10年というダブルのアニバーサリーを象徴しています。また、スモールセコンド内には19世紀のアーカイブから復元したフランソワ・チャペックの手書きサインが“シークレットサイン”として隠されています。目に見える要素と隠れた要素の相互作用は、チャペックがこのモデルに込めたビジョンを反映しています。ミニマルで純粋な美学は、オーナーが自ら発見する細部への配慮によってさらに豊かになっています。「スルスム・コルダ」は、オリジナルのケ・デ・ベルクに使用されていたのと同じ系譜を持つ、チャペック独自の手巻きキャリバーを搭載しています。

　ダブルバレル構造は約7日間（168時間）のパワーリザーブを実現し、週ごとに巻き上げられるという実用性を提供するとともに、歴史的な慣習（19世紀の多くの懐中時計は礼拝後の日曜日に巻き上げられていた）への敬意も表しています。ムーブメントは、19世紀半ばの懐中時計の構造（2つの香箱、対称的なレイアウト、オープンラチェット）を踏襲し、サーキュラーグレイン、手作業で面取りされたブリッジ、サンドブラスト仕上げの表面といった、伝統的な高級時計の仕上げが施されています。これらはすべて、歴史的な美学を反映しつつ、現代の職人技に対する期待にも応えています。

　オリジナルのケ・デ・ベルクは42.5mm（後に38.5mm）径のケースで提供されていましたが、新作「スルスム・コルダ」は40.5mm径のケースで発売されます。このサイズは、現代的な手首のプロポーションと、クラシカルなプロポーション、そして文字盤の視認性のバランスを考慮して選ばれました。これにより、新作はケ・デ・ベルクの唯一のサイズとなり、コレクションのアイデンティティと将来の方向性を確固たるものにしています。

　チャペックは、アニバーサリー・エディションに加え、同じくローズゴールドにホワイトのグランフー・エナメル・ダイヤルを配したケ・デ・ベルクの新作、「No.33」と、ステンレススティールとグランフー・エナメルを組み合わせた「No.25」も発表しました。33bisと25terの洗練された進化系である両モデルは、サンドブラスト仕上げのケースサイドを含む強化された仕上げを特徴とし、歴史的な「フルール・ド・リス」または現代的なアロー・シェイプの針を選択できるパーソナライゼーション・オプションや、エナメル・ダイヤルに「シークレット・センテンス」を含むオプションも用意されています。このモデルでは約7日間のパワーリザーブを誇るキャリバーを巧みに活用し、4時30分位置のサブダイヤルにはパワーリザーブと曜日が表示されます。

「これら2つの新しいケ・デ・ベルクは、単なる記念モデルではありません」とチャペックのCEO、ザビエル・デ・ロックモーレルは述べています。「これらは未来のコレクターズ・アイテムであり、チャペックのデザイン哲学をもっとも純粋に表現したものです。これらは、私たちの歴史、レアな人々のコミュニティ、そして私たちの旅を特徴できる回復力を物語っています」

　新しいケ・デ・ベルク「スルスム・コルダ」、「No.33」そして「No.25」は、再生から自信に満ちたアイデンティティの確立へと続く、2025年のアニバーサリー・サイクルの象徴的な締めくくりを成すものです。チャペックは、隠されたディテール、ヘリテージ、そして何世紀にもわたるムーブメントを通して、レアな人々のコミュニティが、チャペックの復活の核となる、不屈の精神、クラフトマンシップ、そしてウォッチメイキングへの情熱を讃える場へと誘います。

　3つのモデルは、世界中の指定販売店、ジュネーブのフラッグシップ・ショップ、そしてczapek.comで販売されます。