「トラディショナル・ワールドタイム」にエナメル文字盤の新モデルが登場

エナメルを熟知した専門技術

　ヴァシュロン・コンスタンタンの「トラディショナル」コレクションに加わったこの限定モデルには、18世紀からジュネーブで受け継がれる高級時計製造の伝統が隅々まで表現されています。不透明エナメルとグリザイユ・エナメルによって作られた文字盤は、何世紀にも渡り継承される伝統的な装飾工芸によってもたらされた、ヴァシュロン・コンスタンタンならではの時計製造技術を浮き彫りにしています。3枚のディスクで構成された独特の洗練されたワールドタイムの文字盤を引き立てるのは、ミニアチュール・エナメルによるゴールドの世界地図です。

　 海は不透明なブルー・エナメルの陰影で描かれ、海に囲まれた大陸は、細部まですべての輪郭が強調されています。海岸や陸地のレリーフは、グリザイユ・エナメルの技法を使い、ブルーとホワイトの微妙な陰影によって一段とリアルです。この繊細なペイントは、リモージュ・ホワイトと呼ばれる非常に珍しいもので、濃色のエナメルの上に微細な白いパウダーにオイルと混ぜたものをごくわずか塗り重ねながら、針や筆などを使ってモチーフを慎重に描き出す技法です。グリザイユ・エナメルは特に作業が難しく、器用さや経験に加えて、層を重ねる毎のエナメルの焼成時間をコントロールする正確さも求められ、それが秒単位になることさえあります。不透明エナメルについても入念な配慮が求められ、キズはいっさい許されません。不透明エナメルの場合は、伝統的なエナメルの半透明な透光性なら吸収されるようなごくわずかな隆起や粗い斑でも、光が直接当たると目立ってしまうからです。世界地図の描写に用いられたこの技法は、ゴールドのアワーマーカーを配した24時間ディスクとダークブルーの不透明エナメルの上にペイントされた37の都市名にも引き続き用いられています。1時間の時差がある都市名はホワイトで、30分や15分の時差がある都市名はスカイブルーで描かれ、文字盤のセンター針はすべてゴールド製で、文字盤外周をミニッツトラックのリングが取り囲んでいます。こうしたエナメルによる絵画は、20時間に及ぶ装飾の職人技と10回の焼成を経て誕生し、どこまでも繊細な細部や素晴らしい陰影の効果によって優美な姿に仕上げられています。

エレガンスと使いやすさ

「トラディショナル・ワールドタイム」の特別な文字盤を縁取るのはプラチナによる直径42.5㎜のケース。30mの防水性があり、ヴァシュロン・コンスタンタンの自社開発・製造によるキャリバー2460 WTを搭載しています。この自動巻きの機械式ムーブメントは、センターの時針、分針、秒針のみならず、UTCからの時差30分や15分を含む世界の37タイムゾーンの同時読み取りとデイ／ナイト表示を組み合わせた独自の機能をも動かし、しかもこれらの表示の調整がリュウズひとつで行えるシンプルな操作性を併せ持っています。さらには、ストップセコンド機能により、正確な時刻合わせも可能です。北半球の冬時間に設定されたキャリバー2460 WT は、225個の部品から成り、22K ゴールド製のローターを配し、テンプの振動数は毎時28,800振動で、約40時間のパワーリザーブが備わります。

　 ヴァシュロン・コンスタンタンのブティックのみで販売されるこの10本限定モデルは、それぞれに固有番号とジュネーブ・シールの刻印が刻まれています。時計にはまた、ラージ・スクエア・スケールのミシシッピアリゲーターレザーストラップにプラチナ製フォールディング・クラスプが組み合わされています。