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オーデマ ピゲがアート・バーゼル マイアミビーチにてトマス・サラセーノ for AEROCENE(空新世)の新たなアート作品“ALBEDO(アルベド)”を発表

  オーデマ ピゲは、ベルリンを拠点とするアーティスト、トマス・サラセーノ for Aeroceneの構想による新たなアート作品について発表しました。彼が手がけた持続可能なサイトスペシフィックインスタレーション、“Albedo(アルベド)”は、マイアミビーチで開催されるアート・バーゼルの会期中、2018年12月5~9日にオーシャンフロントのコリンズパーク向かいのの砂浜で発表される予定です。


  “Albedo(アルベド)”はトマス・サラセーノが制作する、時に関する大規模なパビリオンで、光を反射する約40個の裏返しになった傘で構成されています。一体となったパラボラ状の構造体は、マイアミビーチのオーシャンフロントに大きな半球の日時計を作り出します。上から見ると、この実験的な構造体は見事に幾何学的な配置となり、日常では身を守る目的で使われる傘を、地球の熱力学バランスを守るコミュニティ活動の一環へと変化させているのです。ここで得る太陽エネルギーは「空新世」の象徴的な空気太陽光スカルプチャーである「空新世」探査機を空中に浮遊させるために使われます。浮かぶスカルプチャーは、大気中で化石燃料を使わないというエシカルな方向性の可能性を実演する新たな空中インフラストラクチャーであるとともに、人々の移動の自由について問いかけ、再定義するものでもあります。


  トマス・サラセーノの“Albedo(アルベド)”は、オーデマ ピゲの環境保全に対する長期的な取り組みと強く共鳴しています。“Albedo(アルベド)”は、トマス・サラセーノが長きにわたって抱き続ける、環境とのエシカルなコラボレーションを視覚化する学問の垣根を越えた芸術的・科学的試みである「空新世」というビジョンから生まれました。「空新世」コミュニティに属するさまざまな分野のコラボレーターや科学者が「空新世」基金の支援のもと、新たに開発した空気太陽光テクノロジーを具現化したものです。オーデマ ピゲ財団は1992年から、地域コミュニティとともに行う環境保護や若者への啓蒙プログラムを通じて、世界的な森林保護活動に寄与してきました。その点で、トマス・サラセーノの空気太陽光の研究はオーデマ ピゲ財団が目指す目標と共鳴しており、トマス・サラセーノは「未来の世代のために地球を守りたいという関心が共通していたことで、マイアミビーチでの私たちのコラボレーションがさらに意義深いものになりました。」 と語りました。


  トマス・サラセーノ for Aeroceneが手がける“Albedo(アルベド)”はオーデマ ピゲ・アートコミッション(直近のコミッション作品は先般スイスで開催されたアート・バーゼルで展示)とは別に制作されました。しかし “Albedo(アルベド)”は、2017年のオーデマ ピゲ・アートコミッション作品である、ラーズ・ジャン制作の“Slow-Moving Luminaries(ゆるやかに動く光)” や、2014年にピーボディ・エセックス博物館とのコラボレーションのもとテオ・ヤンセンが手がけた “Strandbeests(ストランドビースト)”など、同じくアート・バーゼル マイアミビーチで発表された環境意識を高めるオーデマ ピゲ・コミッションのその他のアートプロジェクトとも関連性の高い作品です。“Albedo(アルベド)”と同様に、これらのインスタレーションは、私たちが共有する社会的・環境的未来に対する根元的な問いかけを、高度な技術的複雑性や正確性を特徴とする実験的な対話型、参加型インスタレーションという形式で追求するものです。つまりマイアミビーチのオーシャンフロントは、“Albedo(アルベド)”を、差し迫った歴史的、宇宙的な問題について考えるため、そしてポスト資源略奪主義となる新たな時代、「空新世」へと進むために各国からの鑑賞者と共有する場所となるのです。


  高度に対話型であるという特性を持つ“Albedo(アルベド)”は、持続可能な機能を持つことを念頭に開発されました。ビジターは、「空新世」プロジェクトによる初の試みであり、太陽光エネルギーが本来内包する多機能性を伝えるための新しいビジョンによる手法を用いた、コミュニティ太陽光クッキングなどの、ほぼ毎日晴れている12月のマイアミビーチの気候に合わせたパフォーマンス型実験を含む没入型アート作品へと参加するよう促されます。また、バックパック型の「空新世」探査機でマイアミビーチの上空を飛ぶこともできます。会期中にはトマス・サラセーノと「空新世」コミュニティ、オーデマ ピゲによるシリーズトークも開催されます。その他のプログラムに関する詳細は、後日発表される予定です。


  取締役副会長のオリヴィエ・オーデマは「トマスが手がける、作品が作品自体を表現するという新たなアート作品の制作をサポートする機会を得て、私たちは彼のビジョンを実現しなければならないという使命を感じました。トマスは熟練した職人であり、オーデマ ピゲが自らをどうとらえているかという姿と共通する部分があります。‘アーティスト’という言葉には、必ずしもその作品やビジョンまでもが含まれているわけではありません。彼は科学者であり、人やものをつなぐ達人であり、環境についてよく知るチャンピオンでもあります。マイアミビーチで12月に発表されるアート作品は、オーデマ ピゲのアートプロジェクトを、ダイレクトに新たな高みへと誘ってくれることでしょう。」と語りました。


  マイアミビーチでの“Albedo(アルベド)”の発表と時を同じくして、環境や宇宙についてトマス・サラセーノが現在行っている革新的な研究と、彼の作品“ON AIR”を展示する個展がパレ・ド・トーキョー で開催されます(2018年10月17日 . Jan 6, 2019年1月6日)。 個展では、“Albedo(アルベド)”の試作品や、インスタレーションにも使われている「空新世」基金の作品の詳細についても展示されています。


オーデマ ピゲのアートへの取り組み

  オーデマ ピゲは、創造的なビジョンと卓越した芸術性、熟練した技術の融合を常に追い求めてきました。創造性と革新、独立精神を追求する中で、オーデマ ピゲは2013年にアート・バーゼルとパートナーシップを結び、香港、バーゼル、そしてマイアミビーチで開催される、世界有数のコンテンポラリーアートショーを支援しています。以来、オーデマ ピゲは3つのアート・バーゼルショーのコレクターズラウンジで、アーティストを招聘し、マニュファクチュールの伝統や原点を創造的に解釈した革新的なラウンジコンセプトを発表し続けています。

  取り組みの中でも中心的な存在と言えるのが、オーデマ ピゲ・アートコミッションです。2014年5月から始まったアートコミッションは、オーデマ ピゲの時計づくりのレガシーとして受け継がれてきた職人技と優れた技術から着想されています。毎年、アーティストとキュレーターが1名ずつ選出され、コンテンポラリーな創作と複雑な工学、技術、科学との関係を掘り下げる新たな作品を制作します。アーティストを招聘し、技術の粋や科学の創意工夫の限界に挑むことで、コミッションはオートオルロジュリーの伝統とアートとの絆をさらに強いものにしているのです。制作者は自由な裁量のもとに、コミッション作品を作り上げます。オーデマ ピゲはコミッション作品に対して財務上の支援を行うとともに、作品制作に必要とされる専門家へのアクセスも仲介しています。

  2015年のバーゼルで開催されるアート・バーゼルの会期に合わせ、オーデマ ピゲ・アートコミッションのデビュー作品として、オーデマ ピゲ はスイス人アーティスト、作曲家であるロバン・マイヤーが制作し、マルク=オリヴィエ・ワーラーがキュレーターを務めた「シンクロニシティ」と名付けられた大型アート作品を発表しました。この作品では、ホタル、コンピューター、コオロギ、さまざまな音や電磁振り子など、一見無関係に思われる要素が自然に自ら同調する中に内在する、数学的規則性に着目しました。2016年にオーデマ ピゲが第2回アートコミッションのアーティストに選出したのは、孫遜(スン・シュン)でした。新進気鋭の中国人アーティストとして知られる孫遜(スン・シュン)が手がけた、竹を使ったスケールの大きな没入型インスタレーションと、手作業で彫られた無数の木版で作られ、“Reconstruction of the Universe(宇宙の再構築”と名付けられた3D映像は、マイアミビーチのオーシャンフロントで開催されたアート・バーゼル2016で発表されました。翌年の第3回コミッションには、ロサンゼルスを拠点に活動するマルチアーティスト、ラーズ・ジャンが選出されました。キャスリーン・フォルドがキュレーションを担当した大規模インスタレーション”Slow-Moving Luminaries(ゆるやかに動く光)”もまた前年同様、マイアミビーチのオーシャンフロントで開催されたアート・バーゼル2017で展示され、時間や記憶、天気などのさまざまな移り変わりがテーマとして取り上げられました。

  今年の6月には、CERNとのコラボレーションのもと、モニカ・ベロが監修したSemiconductor (ルース・ジャーマン、ジョー・ゲアハルト)の作品、“HALO(ハロ)”が発表されました。

  コミッションと平行して、オーデマ ピゲは毎年、アーティストが独自の視点からブランドの文化的、地理的原点を解釈して作品制作を行うプロジェクトの支援も行っています。コミッションと比較すると規模は小さいながらも、このプロジェクトは、コンテンポラリーアーティストと時計師という、ともに創造する努力が必要とされる2つの分野の間に、深く豊かな対話が広がっていることの証となっており、ブランドが最も大切にしている価値観を象徴するものです。このプロジェクトは、2013年にイギリス人写真家のダン・ホールズワースによる作品の支援を行ったことから始まりました。同年マイアミビーチで開催されたアート・バーゼルでは、ギャラリー・ペロタンとともに、フランスのデュオアーティスト、Kolkozによるポップアップインスタレーション「Curiosity(キュリオシティ)」を公開しました。2014年のアート・バーゼル香港では、オーストリアの映像作家、クルト・ヘントシュラーガーにより特別に制作されたパノラマ映像「Measure(メジャー)」が、また同年のアート・バーゼル マイアミビーチではテオ・ヤンセンによる「Strandbeest (ストランドビースト)」をピーボディ・エセックス博物館と共催し、マイアミビーチの海岸で風力を利用して歩く、動物のようなスカルプチャーが国際的な評判を呼びました。2015年には、ジュネーブを拠点とするアーティスト、アレクサンドル・ジョリーによる「Wild Constellations(ワイルド・コンスタレーションズ)」と名付けられたサウンドインスタレーションとともに、本物の苔を用いたエコウォールを展開しました。2016年に上海の余徳耀美術館(Yuz Museum)でマニュファクチュールが開催した展覧会では、中国人アーティスト程然(チェン・ラン)の映像作品が上映されました。また、2016年から始まったセバスチャン・エラズリスの躍動感溢れるラウンジデザインは、アート・バーゼルの各会場でオーデマ ピゲの展示を引き立たせています。

「Foundations(礎)」と名付けられた今年のデザインは、ニューヨークを拠点に活動するチリ出身のアーティスト、デザイナーによる、ジュウ渓谷の自然をテーマにした三部作を締めくくるものです。エラズリスのラウンジデザインは、ロンドンを拠点とするイタリア人アーティスト、ケオラがその映像技術でオーデマ ピゲの故郷を描き出した新たなシリーズ写真「Remains: Vallee de Joux(名残り:ジュウ渓谷)」と共に、2018年末まで公開される予定です。


トマス・サラセーノ

  トマス・サラセーノ (1973年アルゼンチン生まれ)は地球とそれを超越した世界を拠点とし、作品を制作しています。ブエノスアイレス、フランクフルト、ヴェネチアでアートや建築を学んだ後、2005年にフランクフルトにスタジオを設立し、2012年にはベルリンへと拠点を移しました。

  彼の作品は、アートや建築、自然科学、天体物理学、工学の世界などで現在行われている研究をモチーフにしています。浮遊するスカルプチャーやコミュニティプロジェクト、対話型インスタレーションは環境を解析し、そこに住まう持続可能な方法を新しく提案し、探求するものです。

  トマス・サラセーノは10年以上にわたり、マサチューセッツ工科大学(MIT)やマックス・プランク研究所、南洋理工大学(シンガポール)、ロンドン自然史博物館などの著名な科学機関と連携して作品を制作してきました。彼はクモが糸でつくり出す生息環境をスキャンし、再現し、再考することを初めて試み、他のどこにもない3Dの蜘蛛の巣コレクションを制作しました。2014年から2016年まで、ブラウンシュヴァイク工科大学の建築芸術機関(IAK)のディレクターを務めたほか、フランス国立宇宙研究センター(2014~2015)、MIT芸術センター(2012~現在)、アトリエ・カルダー(2010)などのレジデンスプログラムに参加しています。2009年には、NASAエイムズ研究センターの国際宇宙研究プログラムに参加しました。また2015年には、太陽光のみによる世界初の有人飛 行の世界最長記録に認定されています。

  第53回ヴェネチア・ビエンナーレでは“Galaxies Forming along Filaments, like Droplets along the Strands of a Spider’s Web(クモの巣を伝って集まる水滴のように、細い糸に沿って形成される銀河)” (2009)と名付けられたインスタレーションを発表し、名誉あるCalder Prizeを受賞しました。彼の作品は、Solutions COP21(2015年グラン・パレ、パリ)、“Arachnid Orchestra. Jam Sessions(クモ形類のオーケストラ。ジャムセッション)“(2015年南洋理工大学シンガポール現代アートセンター)、”Becoming Aerosolar(空気太陽光へと)”(2015年ベルヴェデーレ、ウィーン)、“In orbit(軌道に乗って)”(2013年.現在、K21州立美術館、デュッセルドルフ)、“On the Roof: Cloud City(オンザルーフ:クラウドシティ)”(2012年メトロポリタン美術館、ニューヨーク) 、”Cloud Cities(クラウドシティ)” (2011年ハンブルガー・バーンホフ現代美術館、ベルリン)ほか、さまざまな国で個展、またはグループ展として展示されています。トマス・サラセーノの作品は、ニューヨーク近代美術館(ニューヨーク)、SFMOMA(サンフランシスコ)、ウォーカー・アートセンター(ミネアポリス)、旧国立美術館(ベルリン)などのコレクションでも展示されています。

  トマス・サラセーノは、2015年にコミュニティ構築、科学研究、芸術的体験、教育活動などを行うNPO「空新世」基金を設立しました。基金のグローバルな資源循環に関する取り組みや、地球との持ちつ持たれつの新たな関係の提案などに、現在注目が高まっています。


「空新世」について

「空新世」はオープンソースのコミュニティプロジェクトであり、大気や環境とのエシカルなコラボレーションを目指す、学問の垣根を越えた芸術的・科学的試みです。トマス・サラセーノが率いる活動では、空気太陽光技術の進歩の中でも、太陽光の熱と地表からの赤外線放射をエネルギーとして浮力を得る、空気よりも軽いスカルプチャーのテストや普及に力を入れています。「空新世」は私たちに、大気にはどのような形の支配権も及ぶべきではなく、全員に属するものであるということを気づかせてくれます。世界がクリーンで持続可能な未来へと進むためには、大気は国境という概念や化石燃料から離れるべきなのです。

「空新世」はアーティスト、地理学者、哲学者、思想家、スペキュレイティブ・サイエンティスト、探検家、気球乗り、科学技術者、夢想家などから成る、熱意ある多彩なグローバルコミュニティで構成され、さまざまなコラボレーションをトマス・サラセーノが設立したNPOである「空新世」基金がサポートしています。この基金では、DIT (みんなでやってみよう)精神のもと、他では見られない、空気太陽光スカルプチャーの活用に関する考案途上の研究やセンサー、応用についてのボトムアップの参加型アプローチを支援しています。

「空新世」では特に、空気太陽光ジャーニーに力を入れています。ジャーニーは、2007年につくられた、使用済みのビニール袋を別の目的を持った太陽光で浮遊するスカルプチャーへと変容させるMuseo Aero Solar(空気太陽光ミュージアム)から派生した長期プロジェクトです。空気太陽光ジャーニーは、学問の垣根を越えたグローバルなコミュニティプロジェクトになり、ライフモデルの新たな可能性についての考察を広めるともに、個別の行動からどのように共同プロジェクトが立ち上がるかという実証も行っています。

※2018年11月時点での情報です。掲載当時の情報のため、変更されている可能性がございます。ご了承ください。

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