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2020新作 独立時計師・浅岡肇氏のこだわりを凝縮した「CHRONO TOKYO」から 待望の『クロノグラフ』登場!

 2020年の新作として、独立時計師・浅岡肇(あさおかはじめ)氏がデザイン・設計する機械式自動巻腕時計「CHRONO TOKYO」(クロノトウキョウ)の新作『CHRONOGRAPH』(クロノグラフ)2色が2020年12月下旬より発売されます。TiCTACのオンラインストア(https://www.neuve-a.net/TiCTAC/shop/c/c1001/)にてご予約をいただけます。


独立時計師とは?

 歯車や振り子などの部品をはじめ、時計をゼロから作り上げる作家。世界にはそんな独立時計師が十数名ほどいますが、浅岡肇さんはその中でも、今最も注目されている一人です。


独立時計師 浅岡肇 プロフィール

  1965年生まれ。1990年東京藝術大学デザイン科卒業。その後フリーランス工業デザイナー。2011年より日本初の独立時計師として活動を開始。2013年よりバーゼルワールド(スイス)に毎年出展。2017年世界巡回展「Watchmakers:The Masters of Art Horology」に参加。顧客は世界のハイエンドマニアであり、その正統的な時計づくりが高く評価されている。AHCI(アカデミー独立時計師協会)会員。

 浅岡肇さんとTiCTACの出会いは今から20年以上前。50年代スタイルの家具を製造販売するインテリアショップ「MODERNICA」と制作した腕時計のデザインを、当時新進気鋭のデザイナーであった浅岡さんに依頼したことに端を発します。今見ても新鮮な「MODANICA」は、浅岡さんが初めてデザインした時計でした。

 待望の新作「クロノグラフ」について浅岡さんに伺いました。


Q.まず、クロノグラフへの思い入れなど語っていただけますか?


A.私は時計マニアでもあるので、いろいろな時計を集めていますが、とりわけ関心があるのがクロノグラフです。
そもそも、私のファーストウオッチは中学の入学祝いとして親からもらった自動巻のクロノグラフでした。これはシチズンのチャレンジタイマーというモデルで、ボタンが12時側についているので通称「ツノ」と呼ばれています。当時は既にクォーツ全盛の時代でしたが、まだクォーツのクロノグラフというのは有りませんでした。
ちなみに、クロノグラフにしたのは、その複雑な見た目と、機能性に魅力があったからです。私は子供のころから模型づくりが好きで、完成するとその写真を撮るのですが、子供の撮影環境で、きちっと撮るためには、絞りをf22などいっぱい絞って、数秒と言ったスローシャッターを切るということをやらざるを得ません。すると、そこでクロノグラフが便利なわけです。
この時計は私を虜にし、時計好きにしました。その点で現在の私の仕事のルーツとなるものです。


Q.コレクションの中で、特に好きなクロノグラフは何でしょうか?


A.手巻ということでは、ロンジン30CHですね。この時計はクロノグラフの機構が大変独創的で、他社とは全く違います。一言でいえば非常にエレガントな機構です。私もクロノグラフの機構を設計し製作したことがありますが、このクロノグラフの発想は天才的だと思います。なかなかこのような設計はできるものではありません。
自動巻ではゼニスのエルプリメロ。これは、私の目標とする時計の一つですが、今回は文字盤の構成など、リスペクトを込めて参考にしたところがあります。エルプリメロの凄いところは、従来の手巻のクロノグラフの機能を妥協なく盛り込みながら、なおかつ、自動巻にあたって厚みが全く増えていない点です。その秘密は10振動にすることで、テンプの外径を小さくして、自動巻のローターを入れるスペースを作ったことにあります。普通、スペースを作るということでは、妥協が生じたりするものですが、エルプリメロの場合は、同時に10振動というメリットも獲得しながら、それを達成しているところが、なんともニクいのです。


Q.その点で、浅岡さんが以前に設計されたクロノグラフはいかがですか?


A.あの時計は私のTSUNAMIというシンプルな3針時計をベースに開発したものです。時計に限らず、一般に機械を設計する場合には、機構のセクションごとにまとめておくというような配慮が大切です。これは、生産性やメンテナンス性を良くし、また結果的に信頼性を上げるということにもつながるからですが、そのような設計は非常に難しいもので、チャレンジし甲斐がありますし、実に興味深いものです。そこで、私のクロノグラフでは、ベースのTSUNAMIにクロノグラフのモジュールを載せるというテーマを自ら課すことにしました。具体的にいうと、時計のメイン機構を分解せずに、クロノグラフのモジュールを、まとまったまま分離できるようにしました。このようなクロノグラフを「2階建て」と称して敬遠する向きがありますが、しかし、設計する側からすれば、機構の理想像の一つとして、あえて難しいことにトライしているのです。その点を理解していただければ、むしろ魅力的な機構と映るのではないでしょうか?


Q.それでは、今回発売のクロノグラフについて教えてください。


A.まず、私の、いちクロノグラフマニアからの視点ということで、「THEクロノグラフ」とでも言えるものを作ろうと思いました。自分の好きなヴィンテージのクロノグラフをリスペクトしつつ、現代のラグジュアリーウオッチとして通用する佇まいの時計。。。これが今回目指したものです。CHRONO TOKYOシリーズは全てそうですが、特に文字盤の作り込みには手をかけています。かつて「ミラーフィニッシュ」と呼ばれた艶のある塗装、膨らみのあるボンベダイヤル、立体的なドットインデックス、ブルズアイの塗分け、インダイヤル外周のダイヤカット(金属光沢のあるエッジ)など、ヴィンテージのデザインエレメントを現代の高度な加工技術で再構成し、際立った質感を作り出しました。例えば、かつての「ドット」の表現はエンボス加工されていましたが、この文字盤ではアプライド(別の部品を植え付ける)になっていますし、ミラーフィニッシュは塗分けた上から再度クリヤーを塗装することで、より深い艶を出しています。
デザインとしては、オーセンティックなディティールのバランスをとことん突き詰める、という方針で、これは、永く、飽きの来ない時計ということでは重視されなければなりません。
ムーブメントはセイコーのNE86を採用しました。CHRONO TOKYOシリーズは「日本製」ということを打ち出していますから、スイス製のムーブメントを採用することはありません。すると、日本製のクロノグラフムーブメントとなると、NE86(NE88)しか選択の余地がないのですが(笑)、クロノグラフとしての完成度も極めて高いものです。このNE86も私の設計したクロノグラフ同様に、機構をモジュール化した設計になっており、信頼性が高く、併せて、垂直クラッチの採用でクロノグラフの挙動が非常に安定しています。このあたりが採用に至った理由です。


Q.今回の仕事はご自身として、どのような印象だったでしょうか?やっぱり大変でしたよね?


A.これはオフレコですけど、独立時計師の仕事の場合と違って、デザイナーとして関わる場合には、自分で作らなくて良いので楽でいいですw。

Q.そんなこと言っちゃっていいんですか?


A.オフレコですよ(笑)。。。でも、そうやって自分で作らないから、メーカーには無理難題な、好き勝手な要求を出している。例えば、あの文字盤を自分自身で作ろうとは思いません、大変過ぎるから(笑)。。。つまり、独立時計師としてやり切れていない部分を、こうしてクロノトウキョウシリーズで現実化しているようなところもあるんです。一般にデザイナーのやる仕事は、デザインのレンダリングと簡単な3面図というものですが、私の場合は3次元CADでディティールまで完全に作り込んでいます。また、精緻な完成予想のCGを作ってメーカーとイメージを共有する。つまり、製作という「事務」の部分を第三者がやっているだけで、出来上っているものは100%私の意志に基づいています。メーカーさんは、そのせいで凄く苦労していますが、でき上ったものには、本当に満足しています。


Q.外装について伺いたいです。


A.外径を38mmとしました。今日のクロノグラフとしてはかなり小さいほうですが、日本人の腕にはしっくりくる大きさだと思います。厚みは14mmで、これは自動巻のクロノグラフとしては標準的なものですが、外径の小ささのせいで、やや厚く見えるかもしれません。そこを逆手にとって、厚みが魅力につながるような、そんなデザインにまとめています。それと、全体に丸みのある、柔和な表情を狙いました。ヴィンテージの時計の良さの一つは、この柔和な表情ですが、今日の時計では殆ど失われていると思います。そこを大切に作り込んでいます。


Q.文字盤のディティールについて教えてください。


A.今回も2色展開で、いわゆる「パンダ」と「逆パンダ」です。
外周にはタキメーターとパルスメーターがあります。タキメーターは1kmの間の平均時速を求めるものですが、時速200km以下を計測できれば充分ですから、その手前の部分にパルスメーターを入れています。パルスメーターは心拍数を測るものですが、これもあまりゆっくりな心拍数を測れても実用上無意味ですから、55までとしています。この200kmと55という条件が実にうまく一つの文字盤に入るのです。これはかつてのスイスのクロノグラフでは、まま見られた仕様でした。前述のエルプリメロにもそのような文字盤が存在します。
その内側にあるクロノグラフの目盛りは、4分割になっています。かつてのクロノグラフは一般に5分割ですが、8振動の現代のクロノグラフにおいては、8分割では細かすぎるので、4分割とすることが正しいからです。
クロノグラフの針と長針は先を曲げてあります。これもヴィンテージクロノグラフでは当たり前のディティールで、時間を正確に読み取るために必要な条件ですが、現代の時計では殆ど失われています。また、インダイヤルのカウンターと秒針の針のデザインが異なりますが、これもかつての高級クロノグラフよく見られたものです。つまり、全ての針のデザインが違っていて、長短針と秒針、クロノグラフ針とカウンター針それぞれが呼応するデザインになっているということです。


Q.ベルトや尾錠は従来と変更はありますか?


A.ベルトはゴート革(ヤギ革)を採用しました。ゴート革ということでは、以前に発売した「ブルズアイ」も同様でしたが、今回はややシボの粗いタイプにしています。あわせて、芯を入れて少しボリューム感を出しています。いずれもクロノグラフの量感に合わせてアレンジしました。尾錠は前述のTSUNAMI用に誂えたものをそのまま流用しています。これは今回のクロノグラフにも非常にマッチすると思います。なお、ラグ幅は従来の3針モデルと同じ20mmなので、互換性があります。

Q.ところで、Twitterを拝見していて、クロノグラフの告知から実際の発売までかなり時間がかかったようですが、やっぱりCOVID19の影響などありますか?


A.その影響もなくはないですが、作ろうとしたもののハードルが非常に高かったというのが正直なところですね。これは従来の3針モデルもそうですが、あらかじめ決めた仕様を妥協無く作る方針なので、それを完遂するまでは発売とはならないわけです。その点、クロノグラフは非常に複雑な時計ですから、一層の困難がありました。お待たせしてしまったのは、申し訳なかったです。

Q.最後に、なにか言い残したことがあれば。。。


A.冒頭で紹介したシチズンのクロノグラフが私のファーストウオッチで、この時計が私を時計好きにしたと言いましたが、時計を好きになってもらう、というのがCHRONO TOKYOシリーズの一貫したテーマです。
このクロノグラフは、その点で、よりディープに時計の世界にハマっていただくために作りました。ですから、すでに愛好家の方にも、また初めてクロノグラフを買っていただく方にも、必ず満足していただけると確信しています。

CHRONO TOKYO
CHRONOGRAPH(クロノグラフ)

Ref.CH001K
ケース径:38mm
ケース素材:316Lステンレススティール
ストラップ:ゴートレザー(山羊革)
防水性:3気圧
ムーブメント:自動巻、Cal. SEIKO NE86、45時間パワーリザーブ、34石、毎時28,800振動
仕様:時・分・秒表示、ストップウォッチ・タキメーター・パルスメーター・日付表示
限定:100本
価格:418,000円(税込)

CHRONO TOKYO
CHRONOGRAPH(クロノグラフ)

Ref.CH002W
ケース径:38mm
ケース素材:316Lステンレススティール
ストラップ:ゴートレザー(山羊革)
防水性:3気圧
ムーブメント:自動巻、Cal. SEIKO NE86、45時間パワーリザーブ、34石、毎時28,800振動
仕様:時・分・秒表示、ストップウォッチ・タキメーター・パルスメーター・日付表示
限定:100本
価格:418,000円(税込)

※初回生産分は各色50点、12月下旬の発売(出荷)を予定しております。
※TiCTAC update渋谷パルコ店で現物サンプルをご覧いただけます。

※2020年12月時点での情報です。掲載当時の情報のため、変更されている可能性がございます。ご了承ください。

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