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2023年 グルーベル・フォルセイから、8番目の発明となる「トゥールビヨン カルダン」が登場

 長年にわたり今までにないタイプのトゥールビヨンの開発に取り組んできたグルーベル・フォルセイ。これまでの3年間をかけて、コンセプトが現実のものとなったこのトゥールビヨンが、今回、アトリエが生んだ8番目の発明として発表されました。時計機構の精度を新たなレベルに到達させるため、トゥールビヨン カルダンは、「高速回転するトゥールビヨン」、「30°傾斜した回転面」、そして「常に傾いている2つのリング」、という3つの柱をベースにしています。

 これまで20年にわたり、グルーベル・フォルセイは「現代の時計製造が高級時計製造の技術的可能性のすべてを使い果たしてしまった」などと言うことはない、という立場から時計製造に取り組んできました。グルーベル・フォルセイのアトリエは、ムーブメント制御の基本を見直す基幹となる“発明”やその他の主要なコンプリケーションを開発し、これまで画期的な7つのランドマークを打ち立てることで、自分たちが進んできた道が正しかったことを証明しています。時計機構の性能に焦点を当てたこの壮大な取り組みは、8番目の発明であるトゥールビヨン カルダンによって今に続いています。

前人未踏のトゥールビヨン

 トゥールビヨン カルダンは、時計機構の精度を新たな高みに到達させることを目指して設計されました。そこには3つの原理が組み合わされています。1つ目が「トゥールビヨン」。この機構は、アブラハム=ルイ・ブレゲが1801年に特許を取得したもので、垂直方向の位置の違いによって生じる誤差を補正するよう設計されていました。グルーベル・フォルセイにとって、この複雑な機構は、終着点ではなく、まさに出発点だったのです。

 ほとんどのトゥールビヨンが60秒で1回転するのに対し、この8番目の発明ではその4倍近い速度、つまりわずか16秒で回転します。これは、グルーベル・フォルセイのトゥールビヨンとしても最速です。より短時間でより多くのポジションを移動するため、平均的なパフォーマンスが従来よりもはるかに高くなります。

 さらに、このトゥールビヨンには、グルーベル・フォルセイが自社で設計・開発・製造した大型テンワが初めて組み込まれています。そのメリットをもたらすのが、模範的な質量バランス、大きなサイズ(12.6mm)、最適化された振動。また、慣性も大きいため、衝撃やスピードの変化にも影響を受けにくくなります。

 2つ目の原理が「30°の角度」。2世紀以上前に考案されたトゥールビヨンは、垂直に装着される懐中時計のために設計されたものです。それを腕時計に応用するとなると、21世紀の日常生活において最適なものとなるよう、そのデザインを全面的に見直す必要が生じました。

 3つ目の原理が、この30°高速トゥールビヨンを2本の90°軸で結んだ2つの可動リングによって誘導するというもの。このリングは、48秒で前後に傾きます。構造自体はジンバルを彷彿とさせますが、そこに含まれるものを水平に維持することを仕事として2つのリングが自由に動く従来のジンバルとは大きく異なります。トゥールビヨン カルダンでは、リングの傾きが+30°から-30°に制御される一方、トゥールビヨン本体は同じく30°に傾斜し、変化することがないため、角速度と時計性能との比率が向上します。


高精度を保つパワーリザーブ

 トゥールビヨン カルダンには4つの香箱があります。これは、グルーベル・フォルセイが実現した創業20年の歴史で初めての驚くべき構造です。香箱は同軸に積み重ねられ、巻き上げ時に過度の張力がかからないよう、主ゼンマイはスリップスプリングとなっています。これによって時計機構のパワーリザーブは80時間を実現。しかもこの時間を超えても、この時計はしっかりと機能します。ただし、極めて厳格なグルーベル・フォルセイの精度許容範囲は超えてしまうかもしれません。


斬新な美学

 トゥールビヨンは、上部ブリッジで固定することができないため、この機能を担うのが、2つのアーチ型カルダンリングです。グルーベル・フォルセイの8番目の発明は、従来の構造を採用することなく、空を飛んでいるかのように見える独創的な外観を持つ新しいタイプのトゥールビヨンを生み出し、特許を取得しました。一見複雑な構造ですが、部品点数が非常に少ないため、開放的で風通しの良い美観を湛え、その運動力学に思わず目を奪われます。

100%手仕上げ

 トゥールビヨン カルダンの部品の中には、手作業による仕上げだけで3日間を要するものもあり、この時計のために特別に開発されたユニークな仕上げがいくつもあります。中でも、ムーブメントのプレートはフロスト仕上げのニッケルシルバー製で、ポリッシュ仕上げの面取り面とストレートグレイン仕上げの側面を備える一方、チタン製の地板には、カルダンの背景としてポリッシュ仕上げの大きなアングルがあります。より特徴的なのは、トゥールビヨンケージの上部ブリッジで、フロスト加工を施したチタン製。その上下にはストレートグレイン仕上げの側面とポリッシュ仕上げの面取り面があります。最後に、アーチはバレル研磨が施されています。この部品1つを仕上げるだけでも30時間以上を要します。

 カルダンのリングはマット仕上げで、ポリッシュ仕上げの面取り面とストレートグレイン仕上げの側面となっています。一方、下側のプレートには手作業でフロスト加工が施されていますが、この作業にはアトリエ マニュファクチュールが培ってきたとりわけ特別なノウハウが必要とされます。最後に、時分表示と秒表示の2つがある文字盤では、一方にはサーキュラーグレイン仕上げが施され、ポリッシュ仕上げの側面とかなり大きな鏡面仕上げのアングルがあり、もう一方は外側側面にポリッシュ仕上げが施されています。

 グルーベル・フォルセイはこの時計のために高ドーム型サファイアクリスタルも開発しています。これによって、トゥールビヨンとカルダンシステムの高さを十分に活かすことができ、高度に建築的でテクニカルな見た目をもたらしています。直径12.6mmのテンワが視界を遮ることは全くなく、テンプがはめこまれた2つのカルダンリングの壮麗な動きを堪能できます。


製造するのは1年で最大11本

 トゥールビヨン カルダンは45.5mm のチタン製ケースに収められています。この金属は、カルダン トゥールビヨンの風通しの良い美観と調和する、モダニティと軽快さを生み出すために選ばれています。

 グルーベル・フォルセイは、今後5年間でこのキャリバーを55個だけ製造する予定です。

Tourbillon Cardan
トゥールビヨン カルダン

ケース径:45.50mm(ベゼル径 46.00mm)
ケース厚:13.81mm
ケース素材:チタン
防水性:30m(3気圧)
ストラップ:アニマルフリー素材、チタン製フォールディングバックル
ムーブメント:手巻き、自社製、毎時21,600振動、80時間パワーリザーブ、49石
仕様:時・分・秒(スモールセコンド)・パワーリザーブ表示、カルダン トゥールビヨン、多層構造のゴールド製文字盤、スーパールミノバを塗布したポリッシュ仕上げスチール製の時・分針、シースルーケースバック
限定:世界限定55本(年間最大11本製造)
価格:要お問い合わせ

※2023年11月時点での情報です。掲載当時の情報のため、変更されている可能性がございます。ご了承ください。

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