クオリティの向上がめざましい復刻モデルの現在

もはやすっかり定番化し、トレンドとは呼べなくなってはいるが、そのクオリティや表現手法が向上していることを踏まえると、“復刻”はまだまだ軽視できないキーワードと言えるだろう。

2020年発表の新作のなかでも、とりわけ注目された復刻モデルが、オメガの「スピードマスター ムーンウォッチ 321 ステンレススティール」。1965年に宇宙遊泳を行なったエド・ホワイト着用の第3世代スピードマスターをベースにデザインしつつ、ホワイトエナメルのタキメータースケールを配したブラックセラミック製ベゼルを組み合わせるなど、現代的なアップデートも図られたモデルだ。そして何よりも特筆すべきは、手巻きキャリバー321を搭載していること。エド・ホワイトが着用した第3世代スピードマスターはもちろん、初代スピードマスターにも搭載され、2019年に50年ぶりの復活を遂げた伝説のムーブメントで、新モデルのケースバックはこの繊細なムーブメントが眺められるよう、トランスパレント仕様になっている。

  • オメガ
    スピードマスター ムーンウォッチ 321 ステンレススティール

    Ref:311.30.40.30.01.001
    ケース径:39.7mm
    ケース素材:ステンレススティール
    防水性:5気圧(50m)
    ブレスレット:ステンレススティール
    ムーブメント:手巻き、Cal.321、55時間パワーリザーブ
    仕様:スモールセコンド、クロノグラフ、シースルーバック
    価格:1,510,000円(税抜)

復刻が大きなニュースとなったモデルにはもうひとつ、ハミルトン「ハミルトン PSR」も挙げられる。世界初のLEDデジタルウォッチとして知られる名作「ハミルトン パルサー」の誕生50年を記念して製作されたもので、今回の復刻は、ラウンドフォルムが特徴的な1973年発表の「P2」をベースにしている。オリジナルを3Dスキャンすることでサイズとフォルムを再現しつつ、風防は当時用いられていたルビーからサファイアクリスタルに変更。さらに、液晶ディスプレイと有機ELを組み合わせたハイブリッドディスプレイを採用し、時刻の常時点灯を可能にしたのは、大きな進化と言えるだろう。

  • ハミルトン
    ハミルトン PSR

    Ref:H52414130
    ケースサイズ:W40.8×H34.7mm
    ケース素材:ステンレススティール
    防水性:10気圧
    ブレスレット:ステンレススティール
    ムーブメント:クォーツ
    仕様:LCD&OLEDハイブリッドディスプレイ
    価格:90,000円(税抜)

自動巻き高振動クロノグラフ・ムーブメントの傑作エル・プリメロが、誕生から50年の節目を迎えたのは2019年のこと。このときゼニスは、エル・プリメロを搭載した最初のクロノグラフモデル「A384」を復刻して話題を集めたが、2020年は“ラダー”ブレスレットを組み合わせた「エル・プリメロ A384 リバイバル」を発表した。これは1969年のオリジナルで使われていたゲイ・フレアー社製のブレスレットを再現したもので、このブレスレットを採用したことでオリジナルに忠実なルックスを完成させた。

  • ゼニス
    クロノマスター リバイバル
    エル・プリメロA384

    Ref:03.A384.400/21.M384
    ケース径:37mm
    ケース素材:ステンレススティール
    防水性:5気圧
    ブレスレット:ステンレススティール
    ムーブメント:自動巻き、Cal.El Primero 400、50時間以上パワーリザーブ
    仕様:スモールセコンド、クロノグラフ、日付表示
    価格:880,000円(税抜)

トレンドとともに振り返る 2020年の傑作ウォッチ

※2020年11月時点での情報です。掲載当時の情報のため、変更されている可能性がございます。ご了承ください。

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